ベンチプレスのウォームアップ(アップ)は、軽い重量でフォームを確認し、メイン重量に近づくほど回数を減らすのが基本です。

目安として、バーのみで8〜10回、メイン重量の40〜60%で3〜5回、65〜75%で2〜3回、80〜90%で1〜2回と段階的に上げます。各セットは余力を残し、メインセットに疲労を持ち込まないことを優先します。

こんにちは、モスです。私は週2回程度のジム通いを続け、約3年でベンチプレス180kg程度に到達しました。普段は週2〜3回を標準に、疲労やその日の目的に合わせて負荷を調整しています。

この記事では、メイン重量60〜120kgの具体例、MAXに挑戦する日の組み方、休憩時間、肩周りの準備、その日の調子に合わせた変更方法までまとめます。

ベンチプレスのアップ:基本形

  • バーのみ:8〜10回
  • メイン重量の40〜60%:3〜5回
  • 65〜75%:2〜3回
  • 80〜90%:1〜2回
  • 最後のアップ後に2〜4分休み、メインセットへ

重量が上がるほど回数を減らし、すべてのセットで余力を残します。

まず確認:メイン重量とMAXは分けて考える

この記事でいう「メイン重量」は、その日の中心として扱う重量です。

例えば、最大で100kgを1回挙げられる人が、その日に80kgで5回ずつ練習するなら「メイン80kg」の例を使います。100kgで普段のセットを組む日と、100kgに初めて挑戦する日では、アップの組み方が異なります。

目的アップの考え方
5〜8回のメインセットメイン重量の80〜90%まで1〜2回行い、余力を残す
高重量のトップセット後半の重量を細かく上げ、回数は1回に抑える
MAX挑戦メイン直前まで重さに慣れながら、疲労を最小限にする
軽いフォーム練習アップの段階を減らし、早めにメインへ進む

重量と回数から推定MAXを確認したい方は、ベンチプレスMAX換算早見表をご覧ください。

【早見表】メイン重量60〜120kgのウォームアップ例

以下は、メインセットでおおむね5〜8回、または余裕を残したトップセットを予定している場合の組み方です。20kgバーを想定し、各段階を1セットずつ行います。

メイン重量アップ1アップ2アップ3メイン直前
60kg20kg×8〜10回40kg×5回50kg×2回必要なら55kg×1回
80kg20kg×8〜10回40kg×5回60kg×3回70kg×1〜2回
100kg20kg×8〜10回50kg×5回70kg×3回85kg×1〜2回
120kg20kg×8〜10回40kg×5回70kg×3回100kg×1〜2回

120kgを超える重量でも、後述する割合の考え方を使ってアップを組めます。メイン重量までの差が大きい場合は、80〜90%付近に1回のセットを追加すると、疲労を抑えながら重さに慣れやすくなります。

20kgから次の重量への変化が大きく感じる場合は、途中に軽いセットを追加します。反対に、軽い練習日や2種目目以降で体が十分に動いている場合は、段階を減らせます。

表を完全に再現することより、同じフォームを保ったままメインセットへ進めることが大切です。20kgバーが重い場合は、軽量バー、固定式バーベル、扱いやすいマシンなどから始めましょう。

割合で考えれば、どの重量にも応用できる

早見表にない75kgや110kgを扱う場合は、メイン重量に対する割合で組みます。

段階メイン重量に対する目安回数目的
動作確認軽量バー8〜10回握り幅、足、軌道を確認
アップ140〜60%3〜5回動きを安定させる
アップ265〜75%2〜3回重さに慣れる
メイン直前80〜90%1〜2回本番に近い感覚を確認
メイン100%予定回数トレーニング本番

ウォームアップ全般を検討したメタ解析では、適切に設計されたウォームアップは、その後の運動パフォーマンスを高める傾向が報告されています[1]。上半身のウォームアップに関するシステマティックレビューでも、高負荷を含む動的な準備が筋力・パワー発揮に有効と整理されています[2]。

ベンチプレスとスクワットを対象にした研究では、軽い負荷・少ない回数だけでは十分でない可能性が示され、実施する種目に近い動作で準備する重要性が検討されています[3]。

2024年の研究では、40%・60%・80%の準備重量を比較し、最初のトレーニング重量の80%を少ない回数で行った条件で、その後のベンチプレスの反復回数と総ボリュームが高くなりました[4]。そのため、メイン直前に比較的重い重量を1〜2回扱う方法には実践的な意味があります。

ウォームアップは3段階で考える

ジムで行う準備運動全体の順番や、スクワット・デッドリフトなどの種目別メニューは、筋トレ前のウォームアップは何分?ジムでの順番と種目別メニューでまとめています。

1.必要に応じて全身を軽く動かす

寒い日、長時間座っていた日、朝のトレーニングでは、ウォーキングやバイクなどを3〜5分行うと体を動かしやすくなります。息が大きく上がる強度ではなく、ベンチプレスに集中できる程度で十分です。

気温が高く、移動などですでに体が温まっている場合は、この段階を短くしても構いません。ベンチプレスのアップセットを中心に組み立てます。

2.肩・肩甲骨周辺を動かす

肩を軽く回す、腕を上げ下げする、肩甲骨を前後に動かすなど、痛みのない範囲で動きを確認します。

普段から行っている場合は、軽いバンドを使った外旋やバンドプルアパートを1〜2セット加える方法もあります。胸や肩を追い込むのではなく、動作の確認が目的です。

3.実際のベンチプレスで重量を上げる

最も重要なのは、実際のベンチプレスを軽い重量から行う「特異的ウォームアップ」です。最初のセットで次を確認します。

  • 握り幅と、バーを手に乗せる位置
  • 足の位置と、体を支える感覚
  • 肩甲骨と胸の位置
  • ラックアウトのしやすさ
  • バーを下ろす位置と押し上げる軌道

軽い重量のうちに位置を整え、重量が増えても同じ動きを続けられるようにします。

ベンチプレス前のストレッチはどうする?

ベンチプレス前は、肩や腕を動かす動的な準備と、軽いベンチプレスを優先します。

静的ストレッチを行う場合も、短時間で気持ちよく伸びる範囲にとどめ、その後にバーを使ったアップを行えば流れを作りやすくなります。

2024年のメタ解析では、静的ストレッチ後の最大筋力低下は全体として小さく、1回のストレッチが60秒以上になる条件で影響が大きくなる傾向が報告されています[5]。そのため、高重量を扱う直前に胸や肩を長時間強く伸ばすより、動的な準備と種目固有のアップを中心にする方法が実践的です。

可動域を確保しないとフォームを取れない場合や、肩・肘・胸に痛みがある場合は、単にストレッチを増やすだけでなく、重量、フォーム、疲労状態も確認しましょう。

重量が増えたら回数を減らす

アップの重量が上がるほど、反復回数を減らします。例えばメイン80kgなら、次の流れです。

  • 20kg×10回:体の位置と軌道を確認
  • 40kg×5回:同じフォームで押せるか確認
  • 60kg×3回:重さに慣れる
  • 70kg×1〜2回:メイン直前の感覚を確認
  • 十分に休み、80kgのメインセットへ

70kgでも10回、メインに近い重量でも限界まで繰り返すと、アップ自体が本格的なトレーニングになります。各セットを余裕のある回数で終え、メインセットに力を残します。

セット間の休憩時間

段階休憩の目安
バー・軽い重量のセット間30秒〜1分程度
中間重量のセット後1〜2分程度
メインに近い重量のセット後2〜3分程度
最後のアップからMAX・高重量まで3〜5分程度

プレートを交換している間に呼吸が整う軽いセットもあれば、長めに休みたい高重量セットもあります。時間だけでなく、呼吸、腕の疲労感、集中、バーの速度が戻っているかを確認します。

100kg・120kgにMAX挑戦する日のアップ例

MAX挑戦日は、後半の回数を1回に抑え、重量を細かく上げます。以下は、挑戦重量の手前まで安定して扱える人が調整するための例です。

挑戦重量アップ例
100kg20kg×10 → 40kg×5 → 60kg×3 → 80kg×1 → 90kg×1 → 100kg
120kg20kg×10 → 40kg×5 → 70kg×3 → 90kg×1 → 105kg×1 → 120kg

最後のアップが軽く、軌道も安定していれば挑戦へ進みます。普段より明らかに重い場合は、その日のトップ重量を調整します。

MAX挑戦では、セーフティを適切な高さに設定し、必要に応じて補助者を依頼してください。100kgを目標にしている方は、80kg・90kgは何回が目安かと、ベンチプレス100kg達成時のメニューも参考になります。

時間がない日の5分版ウォームアップ

  1. 肩と肩甲骨を軽く動かす
  2. バーのみで8〜10回
  3. メイン重量の約50%で3〜5回
  4. 約70%で2〜3回
  5. 約85%で1回
  6. 休憩してメインセットへ

寒い日やMAX挑戦日には、最初に3〜5分の軽い有酸素運動を加え、重量の段階を1つ増やします。時間がない日でも、バーだけの動作確認とメイン直前の1セットは残すと、フォームと重さの感覚を確認しやすくなります。

アップの感覚を、その日のメニューに活かす

アップ時の状態メインセットの判断
軌道が安定し、軽く感じる予定どおり実施する
体がまだ動きにくい軽いセットを1つ追加する
普段より明らかに重いメイン重量またはセット数を調整する
メイン直前のセットに余裕がないMAX挑戦や重量更新を見直す
肩・肘・胸に痛みがある高重量を避け、原因を確認する

私自身も、しっかり負荷をかける日と、軽めの重量で感覚を保つ日を組み合わせています。MAXを目指す時期は、重い日を週1〜2回にして、ほかの日の負荷を抑えることもあります。

練習頻度と負荷の配分は、ベンチプレスは週何回?週2・週3のメニュー例で詳しくまとめています。セット全体の設計は、ベンチプレスのセットの組み方をご覧ください。

よくある失敗

失敗例改善方法
軽い重量で回数を行いすぎる重量が上がるほど回数を減らす
バーから一気にメイン重量へ進む40〜90%の間に2〜4段階を作る
アップセットを限界まで行うすべてのセットで余力を残す
毎回同じ手順を必ず行う気温、疲労、目的に合わせて増減する
肩の痛みを温まれば消えると考える高重量を避け、フォームや疲労を確認する
セーフティを設定しないアップの段階から適切な高さに設定する

よくある質問

バーだけのウォームアップは必要ですか?

バーだけのセットは、握り幅、足の位置、肩甲骨、バーの軌道を確認する出発点として使いやすい方法です。普段の重量が重い人でも、最初に動作をそろえる時間として活用できます。

アップは何セット行えばよいですか?

バーを含めて3〜5セットを出発点にします。メイン重量までの幅が大きい日やMAX挑戦日は段階を増やし、軽いフォーム練習の日は減らします。

腕立て伏せをアップにしてもよいですか?

余裕を持ってできるなら、体を動かす準備として取り入れられます。その後、軽いベンチプレスで握り幅やバーの軌道を確認します。腕立て伏せ自体がきつい場合は、軽量バーなどから始める方が疲労を抑えやすくなります。

胸の補助種目を先に行ってもよいですか?

ベンチプレスの重量や回数を伸ばしたい日は、ベンチプレスを先に行う方がメイン種目に集中しやすくなります。ディップスやインクラインベンチプレスなどは、その後に組みます。

補助種目の選び方は、ベンチプレスの補助種目|愛用4種目と目的別の選び方で紹介しています。

アップが軽かったら、その日に重量を上げてもよいですか?

その日の計画に増量の余地があり、直前のアップと最初のメインセットが安定している場合は、小幅な増量を検討できます。判断方法は、筋トレの重量を上げるタイミングにまとめています。

まとめ:フォームを整え、疲れずにメインへ進む

ベンチプレスのウォームアップは、軽い重量から始め、重量が増えるほど回数を減らします。

  • バーで8〜10回
  • 40〜60%で3〜5回
  • 65〜75%で2〜3回
  • 80〜90%で1〜2回
  • 最後に十分休んでメインセットへ

基本の流れを決めたうえで、気温、疲労、痛み、当日の目的に合わせて段階を増減します。トレーニングノートには、アップの重量・回数と最初のメインセットの感覚も残しておくと、自分に合う組み方を見つけやすくなります。

軽い重量でフォームを整え、重くなるほど回数を減らし、余力を持ってメインセットへ進む。これが基本です。

あわせて読みたい:ベンチプレスの重量を伸ばす完全ガイド

参考文献

  1. Fradkin AJ, Zazryn TR, Smoliga JM. Effects of warming-up on physical performance: a systematic review with meta-analysis. J Strength Cond Res. 2010;24(1):140-148. PMID: 19996770
  2. McCrary JM, Ackermann BJ, Halaki M. A systematic review of the effects of upper body warm-up on performance and injury. Br J Sports Med. 2015;49(14):935-942. PMID: 25694615
  3. Ribeiro B, et al. The Role of Specific Warm-up during Bench Press and Squat Exercises: A Novel Approach. Int J Environ Res Public Health. 2020;17(18):6882. PMID: 32971729
  4. Viveiros L, et al. High-load and low-volume warm-up increases performance in a resistance training session. J Bodyw Mov Ther. 2024;40:1487-1491. PMID: 39593476
  5. Warneke K, Lohmann LH. Revisiting the stretch-induced force deficit: A systematic review with multilevel meta-analysis of acute effects. J Sport Health Sci. 2024;13(6):805-819. PMID: 38735533
ABOUT ME
モス
材料開発・データ解析の実務経験と、ベンチプレス180kg到達までの実践をもとに、筋トレ・データサイエンス・英語の情報を発信しています。