ダイエット

【ダイエット】ウォーキングで、継続できる”楽々”脂肪燃焼生活

こんにちは、モスです。

ダイエットといえば、王道のランニング。でも、普段運動の習慣が無かったり、走るの苦手な人にとっては、ただ単につらいですし、そんなつらいのを無理していてもなかなか長続きしません。

またランニングは、確かにウォーキングに比べると消費カロリーは2倍以上にもなるので、非常に有効ですが、注意しないと筋肉まで落とすことにつながってしまいます。

一方で、ウォーキングは、実は脂肪燃焼という観点で見ると非常に優秀です。またさらには、歩くだけということなので、ランニングに比べるとずっと楽で、継続しやすいです。

ということで、今回は、ウォーキングの脂肪燃焼の効果について、学術論文の結果などを引用しながら、紹介していきたいと思います。

今回の記事は、

こんな人におすすめ

・ランニングがつらくてなかなか長続きしなかったダイエッターさん
・脂肪は落としたいけど、筋肉は落としたくないトレニ―さん
・単にウォーキング、ランニングの消費エネルギーの内訳知りたいさん

にぜひとも読んでほしいです。

 

運動と脂肪燃焼

脂肪は、その大部分が脂肪細胞(adipose tissue)と呼ばれる組織内に貯蔵されています。また少量ですが、筋肉内にも存在しています。

運動によって、体内の活動レベルが上がると、脂肪が分解され、エネルギーとして活用されます。おおまかなプロセスは以下の通りです。

① 脂肪細胞に貯蔵されている脂肪が、3分子の脂肪酸とトリアシルグリセロール(グリセロール)に分解

➁ 脂肪酸が脂肪細胞から、筋肉へと輸送される

③ 筋肉中のミトコンドリアにて、酸化反応によりエネルギー源(正確には、エネルギー源となるアセチルCoAという分子)を生産

運動が脂肪分解のトリガーとなるのに加えて、運動によって分泌されるアドレナリン、ノルアドレナリン等のストレスホルモンが脂肪分解を加速することが分かっています。

こちらのレビュー論文に紹介されているように、運動の強度や長さによって異なりますが、これらのホルモンの分泌量が、平常時の1.5倍から20倍にもなるそうです。

すなわち、運動するということは、脂肪燃焼という観点では、非常に有効であることがわかります。

 

最大心拍数と最大酸素摂取量

脂肪燃焼の効率化を議論するうえで、最大心拍数(MHR)と最大酸素摂取量(VO2 MAX)は、必須の概念なので、この部分だけ、先に解説します。

最大心拍数 Maximum Heart Rate(MHR)

古典的には、MHR=220-年齢が使われていたようですが、2007年に報告された縦断的研究での提案が、現在のところ、年齢をベースとした最大心拍数の予測式として、よく使われているようです。

最大心拍数の予測式

MHR = 207 – (0.7×年齢)

例えば、30歳の場合には、207-(0.7×30)=186が最大心拍と予測されます。ここから最大心拍数の60%であれば、186×0.6≒112と簡単に計算することができます。

一方で、この式は、あくまで年齢のみを基準とした予測式であり、年齢や性別が同じであっても個々人によって異なる点に注意です。とはいえ、標準偏差が±5-8程度ですので、十分に目安として活用できるのではないかと思います。

 

最大酸素摂取量(VO2 MAX)

最大酸素摂取量は、体内に取り込み消費することが出来る酸素の最大量のことです。有酸素性の運動能力の指標、すなわち全身持久力を測る指標として活用されています。

これを知る術は、直説法と間接法があります。直説法は、トレッドミルなどの専用の機器を用いて、運動中の呼気ガスを分析するなど、簡単には測定できないため、心拍数などから推定する間接法が広く使われています。

1つ、心拍数から最大酸素摂取量を推測する式を紹介します。

最大酸素摂取量の予測式

VO2 MAX(%) = (MHR-37.2)/0.65

上記、予測式は下記論文にて報告されているものです。
Target heart rates for the development of cardiorespiratory fitness
Med Sci Sports Exerc. 1994 Jan;26(1):112-116.

この式は、162人の18歳から34歳の男女を対象に、VO2 MAXが40-85%の領域における関係性を回帰したものです。極端に高いまたは低いVO2 MAXを換算するときは、外挿になりますので、基本的には、VO2 MAXが40-85%の領域で使用するのが無難です。

最大酸素摂取量(VO2 Max)と最大心拍数(MHR)ならびに、それらに対応する運動を下の表にまとめました。

% VO2max% MHR心拍数目安
30歳
Mets換算運動の強度
20%50%933-4ウォーキング
4-5Km/hr
30%57%105サイクリング
40%63%117
50%70%1306.5非常にゆっくりなジョギンク
7Km/hr
60%75%1408ゆっくりとしたジョギング
8Km/hr
70%82%153ランニング
80%88%16411ハーフマラソン
11Km/hr
90%95%17710Km走の速度
95%98%1825Km走の速度
100%100%1863Km走の速度

参考1:HEART RATE ZONES | THE BASICS

参考2:国立健康・栄養研究所のHP

最大酸素摂取量(VO2 Max)、最大心拍数(MHR)と運動の強度との関係は、当然ながら、アスリートと一般人とでは、全く異なりますので、あくまで参考程度とするのが良いと思います。とはいえ、総じていえば、

VO2 20-30%(MHR 50%)付近は、ウォーキング
VO2 50-60%(MHR 70%)付近は、ゆっくりジョギング
VO2 80%(MHR 88%)以上は、結構早いランニング

と認識しておくと便利です。

ちなみに運動強度を示す単位としてMetsと呼ばれるものがありますが、運動の違いによるエネルギー消費量を試算できるので非常に便利です。Metsについて、もう少し詳しく知りたい方は下記の記事も参照ください。

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脂肪燃焼ゾーンで歩こう

脂肪燃焼ゾーンとは

運動の強度によって、脂肪がエネルギーとして活用される効率が変わってきます。脂肪燃焼が最大化される領域は、俗に脂肪燃焼ゾーン(Fat Burning Zone)と呼ばれています。

さまざま報告されていますが、この脂肪燃焼ゾーンはVO2 Maxが40-60%の領域に存在するとされています。

これを上記の表から読み解くと、

最大心拍数(MHR)は、63-75%(30歳で約120-140)くらい
運動強度は、ジョギングで6-8 Km/時間くらい

これをどう見るかですが、普段から走っている人、痩せている人にとっては、なんて事無い強度です。しかしながら、走ることはもとより、普段運動の習慣が無い方も多いのではないかと思います。そういった方々にとっては、意外と心拍数120を超える運動、特に140近くになると、10分、20分がかなりつらく感じます。

脂肪燃焼ゾーンにフィットするジョギングは非常に有効な運動です。でも、普段から走り慣れていない人、運動習慣のない人にとっては、例えば、30分、60分のジョギングは、苦行でしかありません。

脂肪燃焼を語る上で最も重要なポイントは

脂肪燃焼ゾーンは、脂肪がエネルギーとして活用される効率が高い領域だが、それ以下の運動強度でも充分に脂肪がエネルギーとして活用される

ということです。

また、この脂肪燃焼ゾーンは、運動の経験、体格等によっても変わってきます。基本的には、運動経験がある方が、脂肪燃焼ゾーンのVO2 Maxは高い傾向にあり、一方で、肥満、過体重(BMIが25以上)の場合、低くなるようです。

詳しくは、下記の論文が非常によくまとまっていますので、興味があれば参照ください。
(記事の修正のときに、少しまとめるかもしれません)

Contextualising Maximal Fat Oxidation During Exercise: Determinants and Normative Values
Front Physiol. 2018; 9: 599.

いずれにしても、脂肪燃焼ゾーンで運動することに固執するあまり、ツラくなって継続しなくなるのが、一番もったいないです。ということで、ウォーキングでも、十分に脂肪が燃焼できるんだよということを紹介していきます

ウォーキングで、継続できる“楽々”脂肪燃焼生活

まず、ウォーキングで脂肪が燃えるのかについて燃えます。

ウォーキングにおいては、消費されるエネルギーの約80%が脂肪からです。基本的には、運動していない状態も含めて、運動の強度が低い状態においては、脂肪がエネルギー源として優先して活用されます。

例えば、体重75kgの一般男性が1時間ウォーキングをした場合、およそ280kcalが消費されますが、そのうち229kcalが脂肪をエネルギー源として消費されます。

下に、VO2 Max %別のエネルギー消費量の内訳をまとめたものを載せます。

fat burning in terms of VO2max
図 VO2Max別の1時間当たりのエネルギー消費量(体重75kg)
下記論文のFig8を改変
Regulation of endogenous fat and carbohydrate metabolism in relation to exercise intensity and duration
Am J Physiol. 1993 Sep;265(3 Pt 1):E380-91

この図から分かる通り、VO2 Max25%(ウォーキングで4-5Km/時間くらい)では、消費されるエネルギーがほとんど血液中の遊離脂肪酸から来ていることがわかります。

また、おおよそ、脂肪燃焼ゾーンであるVO2 Max 65%では、筋肉中にある脂肪燃焼が活性化されているため、より多くの脂肪が燃焼します。このくらいの運動強度(ジョギングで8-9Km/時間)では、筋グリコーゲンもエネルギー源として活用され始めます。

よって、筋グリコーゲンが枯渇した状態や、十分な栄養(糖質、脂質、たんぱく質)の摂取が無いまま、この強度で運動を続けると、筋たんぱく質の分解が進むので注意が必要です(運動による筋たんぱくの合成と分解のバランスについては、この報告に詳細が書かれています)。

そういう意味で言うと、脂肪は落としたいけど、筋肉は落としたくないトレニ―においても、ランニングではなく、ウォーキングをすることは理に適っている気がします。

 

最後まで、本記事を読んでいただきありがとうございました。もし、不明点や、疑問点等ありましたら、遠慮なく、お問い合わせや、ツイッターのDM等でお知らせいただければと思います。