こんにちは。モスです。
前回の記事に引き続いて、筋トレ後の超回復について、紹介していきます。
前回は、特にプロテインにフォーカスして、超回復を最大化する摂取方法やタンパク質の種類についてまとめてありますので、ぜひこちらもどうぞ
前回に続いてテーマは、超回復を最大化するサプリメントの摂取方法について。
今回は、グルタミンにフォーカスして紹介していきます。
皆さんご存じの通り、筋トレ後の超回復は、筋力アップにとってとてつもなく大事です。
もっと強く言うと、超回復がなかったら、筋力アップしません。
ですので、この
超回復の効果をいかに最大化するかが、筋トレの成否を決める
といっても過言ではありません。
そして、それを語るうえで、プロテインは切っても切れない関係にありますので、一番に紹介しました。
では、なぜ次にグルタミンか?
話題の必須アミノ酸の1種でもないのに、ほかにも、クレアチンやBCAAなど、重要そうなサプリメントがあるのに、なぜ非必須アミノ酸の1つであるグルタミンにフォーカスしたのか?
グルタミンが筋トレによって生じる筋肉の痛み、筋強度の減少を低減してくれる
という検証結果が数多く報告されているからです。
このことは、高強度の筋トレをした後、より早く回復し、万全の体制で次のトレーニングに迎えられることを示しています。万全の体制でトレーニングができれば、より強度の高いトレーニングができます。
前置きはこれくらいにして、実際に、学術研究の結果を見ながら、グルタミンの効果について、見ていきたいと思います。
・ グルタミンは気になっているけど、買うかどうか悩んでいる
・ 筋疲労を早く回復して、筋トレの頻度と強度を上げたいと思っている
多数の被験者をもとに検証したグルタミンに関する学術論文の結果を紹介していますので、上記にあてはまる方は、ぜひ、チェックしてくださいね。
グルタミンって筋トレに効果ない?
グルタミンをネットで検索してみると、グルタミンについて懐疑的な意見もあるようです。
筋トレにはグルタミンは不要なサプリメントと言っているものもあります。
私はこれはグルタミンというサプリメントに求める目的の相違によるものだと思っています。要はグルタミンにプロテインやEAAと同じようなトレーニング後の筋タンパク質の合成速度の向上や筋力の向上効果があるはずという前提で考え、その効果が無いもの=意味がないとしてしまっていることです。
先に答えを言っておくと、プロテインやEAAとグルタミンの効果は全く異なります。
プロテインは、筋トレ後の筋タンパク質の合成の促進=筋量増加や筋力増加がある
グルタミンは、筋トレ後の筋肉痛の軽減や筋疲労の早期回復に効果がある
上でも同じことを言っていますが、高強度の筋トレをした後、より早く回復し、万全の体制で次のトレーニングに迎えられば、より強度の高いトレーニングが短期間で実施できます。このトレーニング頻度と強度の増強をより可能にするのがグルタミンの効果だといえます。
ここで1つの論文を紹介します。
Effect of glutamine supplementation combined with resistance training in young adults
意訳:青年における負荷トレーニング中のグルタミン摂取の影響
Eur J Appl Physiol 86, 142–149 (2001).
この論文では、31人の18歳~24歳の被験者に対し、トレーニング中のグルタミン摂取が筋強度、筋量、筋タンパク質の分解に与える影響を調べています。結果は、グルタミンの摂取による、上記のプラス効果は無いとしています。
この論文の結果だけを見てしまうと、やっぱり効果が無いんだと考えてしまいがちですが、注意が必要です。確かに、筋量の増加や、筋力の増加に対しては、効果が無いという結果が得られています。このことは否定のしようはありません。
一方で、筋肉の疲労や、筋肉痛に対する効果等、その他の効果や影響についてはわかりません。回りくどくなりましたが、要は、1つの結果ですべてを判断することはとても危険で、いろいろな検証結果を見て、総合的に判断することが大事ということです。
いったんここでの結論です。
グルタミンは筋量の増加や筋力の増加の効果はなさそう
でも、これでグルタミンの効果が無いとするのは、違う
私はエンジニアをしていますので、毎週何十報もの学術論文を読み、そこから日々、開発に応用することをしています。そのときの鉄則は多面的にみることです。1つ何か尖がった性能や効果が示されていたとしても、実は、その他の項目(例えば、耐久性、安全性)などが全然ダメなケースも少なくありません。そういったことを回避する有効な方法は、関連する論文を調べて、複数の結果から判断することです。意識しないと抜けてしまうことも多々あるのですが、この多面的にみるという作業は、このようなケースに関係なく、いろいろな仕事の場面でも有効ですので是非意識してみてください。
さて本題に戻りまして、グルタミンについて、異なる観点で研究した論文から、その効果について見ていきたいと思います。
筋トレ後にグルタミンを摂取するべき2つの効果
すでに導入部分で述べてしまっていますので、最初に示しておきます。
筋トレ後にグルタミンを摂取するべき2つの効果は
グルタミンが筋トレによって生じる
① 筋肉痛を低減してくれる
② 筋強度の減少=筋力が早期に回復する
これらの効果について、検証した、4つの学術研究の結果をまとめました。論文へのリンクは本記事の最後に載せておきます。
論文 | 被験者 | グルタミン 摂取量 | 摂取タイミング | 回復速度 | 筋肉痛 |
1 | 男性8人 女性8人 | 0.3 g/kg日 | トレーニング後 | 早い | 減少 |
2 | 23人 | 0.3 g/kg日 +ロイシン | トレーニング後 | 早い | ― |
3 | 15人 | 0.3 g/kg日 | トレーニング後 | 早い | 減少 |
4 | 17人 | 0.1 g/kg日 | ランチタイム | ― | 減少 |
ー:効果が検証されていない
基本的に、各論文における検証は、比較対象のために、グルタミンを摂取する群と摂取しない群に分かれて、それぞれ同じ環境下(食事、トレーニング、その後のモニタリング)におかれます。
表からわかる通り、グルタミンを摂取することによって、有意に、筋トレで減少したパフォーマンスの早期回復、また、筋肉痛の軽減効果があることが示されています。
グルタミンの摂取量は、体重1kgあたり0.3gということで、例えば体重70kgならば、21gということでかなりの摂取量のような気がします。ただし、論文4の結果をみると、摂取タイミングは異なるものの、体重1kgあたり0.1gにおいても、筋肉痛の減少効果が報告されていることから、0.1~0.3g/kg体重の範囲であれば、少なくともそれなりの効果がある可能性があります。
ちなみに私はGronGのグルタミンを使用していますが、1食5gを目安にしています。私自身は、およそ0.1g/kg体重くらいの量を、トレーニング後に飲んでいました。
私自身、グルタミンの効果はかなり実感していて、グルタミンを摂取する以前は、中1日の筋トレ(例えば、月、水)だと、たいてい筋肉痛が完全に取れず、ハリが残った状態でトレーニングをすることが多かったです。そうすると、その日のトレーニングの初期のほうで、例えば8Rep狙いで5Rep目くらいに急激に力が入らなくなることがよくありました。
グルタミンを摂取するようになってからは、少し筋肉のハリが残ることもありますが、急に力が入らなくなるような、現象が起こらなくなり、以前よりも、セット数とRep数が稼げることが多くなりました。
ちなみに、グルタミンをとるようになってから、ディップスの重量が一気に伸びるようになり、この2か月で、加重ディップスの重量が、加重20kg×10Repから55kg×10Repまで、増加し、胸の発達が体感できるレベルで向上しました。
もちろん、一緒に、EAAや粉飴等々を摂取しての結果ではありますが、やはり、グルタミンの筋疲労軽減効果の寄与も大きかったのではないかと思います。
ちなみにグルタミンを摂取しようとしたきっかけは、尊敬するベンチプレッサーの児玉大紀さんが、主にトレーニング後に摂取している記事を読んでからです。児玉さんは、トレーニングの鬼でも有名な方で、1日に相当に長い時間ベンチプレスのみをやられる方です。大胸筋や上腕三頭筋等に相当負荷がかかっているはずですが、エブリベンチを実行できるのは、やはり、児玉さんの長年のトレーニングや経験、能力ももちろんあると思いますが、やはりサプリメントにも大きな秘密があると考えたからです。
グルタミンのサプリメントについてざっと紹介してきました。グルタミンについて抱いていた疑問やわからないところについて、少しでも解消できたなら幸いです。
論文1
The Influence of Oral L-Glutamine Supplementation on Muscle Strength Recovery and Soreness Following Unilateral Knee Extension Eccentric Exercise
International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism. 2014; 25(5), 417-426.
論文2
The Effects of Acute Leucine or Leucine-Glutamine Co-Ingestion on Recovery From Eccentrically Biased Exercise
Amino Acids. 2018;50(7):831‐839.
論文3
Glutamine Supplementation in Recovery From Eccentric Exercise Attenuates Strength Loss and Muscle Soreness
J Exerc Sci Fit. 2011;9(2):116–122.
論文4
Effect of L-Glutamine Supplementation on Electromyographic Activity of the Quadriceps Muscle Injured By Eccentric Exercise
Iran J Basic Med Sci. 2013 Jun; 16(6): 808–812.