懸垂は、トレーニングを続けている男性の中で、10回で平均の少し手前、15回なら平均以上、20回以上なら上位20%に入る回数です。トレーニングを記録している男性約122万件のデータでは、体重90kg前後の人の平均(中級)が12回、上位20%(上級)が19回でした。

この記事では、海外の記録データと米海兵隊の体力テストの基準から、懸垂の回数の目安を整理します。あわせて、ベンチプレス195kgの私(懸垂の最高は15回)が、懸垂をベンチプレスの補助としてどう取り入れているかも紹介します。

【写真を入れる】懸垂をしているところ

懸垂は何回からすごい?回数の目安

懸垂の回数の目安(体重約90kgの男性)初心者1回初級7回中級12回上級19回エリート27回筆者 15回出典:Strength Level(男性の記録 約122万件、体重200lb≒91kgの基準)。筆者の回数を重ねて作成

体重約90kgの男性の目安。オレンジの線は私の最高記録(15回)

筋トレの記録サイトStrength Levelでは、男性の懸垂の記録約122万件をもとに、次のような目安を出しています(体重を問わない全体の値)。

レベル回数位置づけ
初心者1回未満記録している人の下位5%程度
初級7回下位20%を上回る
中級13回平均(50%)を上回る
上級21回上位20%
エリート30回上位5%

ここでの「平均」は、トレーニングを記録している人の中での平均です。筋トレをしていない人も含めた成人男性全体なら、平均はもっと下がると考えられます。

なお、日本で今行われている国の体力テスト(新体力テスト)には懸垂の種目がなく、成人の平均回数を示した公的な統計は見つかりませんでした。

体重が重いほど、回数は少なくなる

懸垂は自分の体重を持ち上げる種目なので、体重が重い人ほど回数は伸びにくくなります。同じデータの体重別の目安は次のとおりです。

体重初級中級上級エリート
約54kg(120lb)7回14回24回34回
約68kg(150lb)7回14回22回31回
約82kg(180lb)7回13回21回28回
約91kg(200lb)7回12回19回27回
約100kg(220lb)6回11回18回25回

体重90kg前後の私の15回は、中級(12回)と上級(19回)の間です。

米海兵隊の体力テストでは20〜23回が満点

米海兵隊の体力テスト(PFT)では、懸垂の回数で点数がつきます。2020年ごろの基準では、男性の満点(100点)は年齢によって19〜23回、最低ラインは4〜5回でした。

年齢最低ライン満点
17〜20歳4回20回
21〜35歳5回23回
36〜40歳5回21回
41〜45歳5回20回
46歳以上4〜5回19回

体を鍛えることが仕事の兵士でも、20回前後が満点です。一般の人で20回できれば、十分に「すごい」と言えます。

回数を数えるときのルール

同じ15回でも、やり方で難しさは大きく変わります。比べるときは、次の条件をそろえてください。

  • 腕を伸ばしきった状態から始める。途中までしか下ろさない回はカウントしない。
  • あごがバーを越えるまで引く。
  • 反動を使わない。脚を振ったり、体を揺らしたりして上がった回は別物です。

握り方は、手の甲が自分に向く順手(オーバーハンド)のほうが一般的に難しく、手のひらが自分に向く逆手(チンアップ)のほうが腕の力を使いやすいため回数が出やすくなります。私は特に決めていませんが、順手が多いです。

私の懸垂:ベンチプレスの補助として取り入れている

私の懸垂の最高記録は15回です。懸垂だけを専門に練習しているわけではなく、ベンチプレスの補助種目として、2週間に1回ほど取り入れています。

懸垂とディップスのサーキット

やり方は、次の3種目を続けて行うサーキットです。

順番種目回数負荷
1懸垂(順手)10回体重から20kgほど軽くするアシスト付き
2ワイドグリップ懸垂(肩幅より広く握る)10回同じくアシスト付き
3ディップス10回自重

この3種目で1セットです。アシスト付きにしているのは、回数を稼ぐためではなく、最後まで崩れないフォームでこなせる重さにするためです。限界まで追い込むより、決まった動きを確実に繰り返すことを優先しています。

以前、ベンチプレス160kgを目指していた時期にも、チンアシスト(体重を補助するマシン)を使って、自重から20kgほど軽くした懸垂を10回×3セット行っていました。そのときの記録はベンチプレス160kgの壁に書いています。

懸垂がベンチプレスに役立つと感じている理由

懸垂とディップスで、胸の周りの筋肉をバランスよく鍛えることが、特に高重量のベンチプレスでフォームを安定させるのに役立っていると感じています。それぞれの種目で主に使う筋肉は次のとおりです。

種目主に使う筋肉ベンチプレスでの役割
懸垂広背筋、大円筋、僧帽筋(中部・下部)、菱形筋、上腕二頭筋肩甲骨を寄せて下げた姿勢を保ち、バーを下ろす動きをコントロールする
ディップス大胸筋(特に下部)、上腕三頭筋、三角筋(前部)バーを押し上げる力そのもの

ベンチプレスでは、肩甲骨を寄せて下げ、背中をベンチに押し付けた姿勢が土台になります。この土台を支えるのが、懸垂で使う背中の筋肉です。押す筋肉(胸・腕)だけでなく、引く筋肉(背中)も鍛えておくことで、重い重量でも肩や背中の姿勢が崩れにくくなる、と考えています。

これは測定して確かめたことではなく、私の感覚です。ただ、160kgで止まっていた時期にフォームが崩れていたことを思い返すと、押すだけでなく支える筋肉も大切だと実感しています。

ディップスの回数と重量の目安はディップスは何回・何kgからすごい?に、ほかの補助種目はベンチプレスの補助種目は何を選ぶ?にまとめています。

懸垂の回数を増やすには

  • アシストを使って、正しいフォームで回数をこなす。チンアシストのマシンやゴムバンドで体重を軽くすると、反動を使わずに最後まで引く動きを練習できます。
  • アシストを少しずつ減らす。同じ回数を確実にこなせるようになったら、補助の重さを減らします。
  • 記録を付ける。アシストの重さと回数を書いておくと、伸びているかどうかが分かります。記録の付け方は筋トレノートの書き方で紹介しています。

よくある質問

懸垂が1回もできないのはおかしい?

おかしくありません。記録データでも、初心者の目安は1回未満です。特に体重が重い人や、背中を鍛えたことがない人は、最初はできなくて当然です。アシスト付きの懸垂から始めるのがおすすめです。

懸垂10回はすごい?

トレーニングを記録している人の中では、ほぼ平均(中級)の手前です。筋トレをしていない人も含めれば、十分に多いほうだと考えられます。

懸垂はベンチプレスに効果がある?

懸垂は背中の種目なので、ベンチプレスで押す力を直接伸ばすものではありません。ただ、私は肩甲骨の姿勢を保つ背中の筋肉を鍛えることで、高重量のときのフォームが安定すると感じています。

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参考資料

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モス
材料開発・データ解析の実務経験と、ベンチプレス180kg到達までの実践をもとに、筋トレ・データサイエンス・英語の情報を発信しています。